新名所浅草十二階が夕日に染まる鷲神社の境内で、野呂半三十七歳は、四人の不良連と大立廻りをするはめに。それが、母を失ない、しがない馬力稼業に見切りをつけた半三が、横道にそれるきっかけになった。縄張り争いから、組のために放火、殺人を重ねるはめになったが、親分の弱腰を肚にすえかね、親分子分の縁を叩っ切り、押しかけ女房の市子と関東大震災前の川崎に…。土建業が表看板の三田秀組の補佐役新谷と兄弟分の盃を交した半三は、鶴見事件で四百人を相手に大暴れ。度胸一筋の痛快博徒人生。