価格: | ¥1068 |
著者: | 井沢元彦 |
出版社: | 集英社 |
発行年月: | 1988年09月01日頃 |
ISBN: | 9784087726688 |
種類: | 単行本 |
在庫状況: | |
美紗姫は父の墓所で静かに手を合わせた。晴信への恨みがないと言えば嘘になる。無念の最期を遂げた父のことを思うと、眠られぬ日もある。しかし、七年の歳月はその恨みを乾いたものにしていることも事実であった。いまの美紗姫には、もっと大切なせねばならない、いや、大切にしたい宝がある。四郎がそれだった。憎い晴信の血を引いているとはいえ、わが腹を痛めた子である。四郎が無事に成育するまでは、どんなことがあっても耐え忍ぶ、そう心に固く決めている美紗姫であった。大国信濃を呑み込んだ武田信玄に、宿敵・長尾景虎との対決の時、迫る。豪将、智将たちの野望の陰で四郎(勝頼)の母・美紗姫の心は揺れて…。