江戸は吉原の高級遊女として名高い高尾太夫。中でも塩原高尾は、仙台藩主・伊達綱宗の側室となり、その名を馳せた。当時仙台藩には、探湯役とよばれる、大名の側室に対するいわば毒見役がいた。その一人、長瀬山充吾は、探湯の儀式前夜、高尾の魔性に魂を奮われ、探湯役としての禁を破ってしまうー。表題作ほか、当時世間を騒然とさせた阿部定など、愛と性の妖しい毒に燃えつきた女を描く日本妖婦伝三篇。