愛するライブランゼの魂を甦らせ、氷の妖魔に囚われた母ジェノウナと仮面の呪いに支配されて敵の手中にある姉ヴァラを救出するために北上を続けるアドナは、生涯最大の危機を迎えようとしていた。氷の妖魔の力は限りなく強大であり、そして何よりも、唯一神ソグラメイを捧ずる聖者ホルデによって喚起された神々への疑念が、アドナの心を深く蝕んでいたのだ。一方、氷の妖魔ラングラーノも、ジェノウナに対する想いから暗黒女神デュラナの命に背き、初めて芽生えた感情を制御しえぬまま悪の聖地で荒れ狂って、三悪神の怒りを買っていた。だが、アドナとラングラーノのそれぞれの思いをよそに、悲劇的な結末を予感させる対決の時は、刻々と迫っていた。好評〈アドナ妖戦記〉第４弾。