フリーライターの小城陽一は、取材で訪れた群馬県Ｉ市で突如、十数万の市民共々、巨大な結界の中に閉じ込められてしまう。なんとか結界から抜け出そうとする陽一は、ある日、佐伯静雄という初老のタクシー運転手と、県境のトンネルから車での脱出を試みるが、結局、閉じた空間から出ることはかなわなかった。そんな陽一と佐伯を、枯木の上から見つめる異形のものがいた。小さな人型のエリンと黒い化鳥のベスナールだ。果たしてＩ市を囲む謎の結界は彼らの仕業なのか、それとも。