「札幌に出張だ」と言って出掛けたまま消息を断った秋津将次。途方に暮れる妻の直枝は、昔の恋人、木場洋右に夫の行方を探してもらう。だが、札幌で彼の行動を追い始めたころ、長野県の蝶ケ岳山頂で将次はすでに死んでいた。夏山の登山装備に不審を抱く豊科署の道原伝吉刑事は、事故から殺人へと捜査を切り替え、生前将次が接触した人物を追い始める。一方、木場は将次の遺品から、ある重大な出来事を掴むが、十勝岳の山中から登山姿の彼の死体が見つかる。事件の裏に潜む黒幕を追う道原刑事の挑戦は…。長篇山岳ミステリー。