十一年前に日本最大手の貸しビル業オーナー花房敦夫の養女となった理帆は、花房家に出入りする阿佐見涼子という女に生理的な嫌悪感を覚える。涼子は画廊を経営する四十七歳の未亡人で、金にものをいわせて男の愛人を二人も抱えているらしい。肉欲と物欲に凝り固まった涼子が、ついに義父の敦夫にまで誘惑の魔手をのばしてきたと知り、理帆の憎愛は殺意へと変わっていく。そんな折り、理帆は実父を殺した犯人の息子と名のる男と出会い、彼に金と汚れのない身体を与えて共犯者を仕立て完全犯罪を実行に移そうとするが…。