「伊藤博文を殺せ」明治四十二年（１９０９）十月、ロシア蔵相との会談のため満州ハルビンへ向かう伊藤を、影のごとく付け狙う一人の日本人がいた。南部式大型拳銃を懐に、大連港、満鉄車中、旅順二百三高地で狙撃の機を窺う非情の男。だが地元警察は奸計を察知、追跡を始めた！一方、時同じく伊藤を狙うもう一人の男、韓国抗日義兵闘士・安重根もハルビンに迫っていた。はたして二人の刺客の運命は？伊藤を斃した銃弾とは…。遺された証言を基に、俊英が果敢に史実に挑む渾身の歴史サスペンス。