昭和５４年７月５日、東京築地本願寺で平和相互銀行会長・鬼里山秀蔵の銀行葬が行なわれた。政財官界の関係者を含む約５０００人が参列、故人の交友の広さをしのばせた。同銀行の顧問弁護士・菊坂重光は、白い菊に囲まれた遺影に手を合わせながら、心の中で決意をのべた。〈会長、これからすさまじい嵐があなたの残した銀行に襲いかかってきます…しかし、わたしはあなたにかわって銀行の帝王となり、死にもの狂いで闘い、銀行を守っていきます。ただし…〉菊坂の気難しい表情がいっそう険しくなった。〈銀行を守るためには、あなたの一族とも闘うことに…〉-鬼里山秀蔵の懐刀として銀行の表も裏も知りつくした菊坂は秀蔵の死後野望をむきだしにし、“帝王の座”獲得に狂奔する。平和相銀は大きく揺れはじめた！