コンクリートの打継ぎ部では鉄筋の位置ずれが生じやすく、レイタンスやコンクリートの沈降現象による弊害があるため、それらを排除する適切な施工が必要である。また、コンクリートの打継ぎ部が弱点となって、雨漏り・耐震性・耐久性等が損なわれないように健全な打継ぎを行うため、細心の注意を払わなければならない。本書ではこのための一般的な対策のほか、品質を向上させる目的で創意工夫された打継ぎ部の新しい工法の紹介もしている。施工途中の不具合事例を著書にして開示することは、職務上知り得た相手方の機密を第三者へ漏洩することになり、就業規則や委託契約の機密保持義務違反にあたるという了見の狭い意見がある。しかし、固有名詞や建物の全体像が見えないように配慮し、現場での体験を研究会や講習会で語り、メディアを通じて建築界で共有することは社会に貢献することになると思い、本書ではたくさんの不具合とその是正例を写真で示して解説している。