肥満の問題は身体的であるとともに、きわめて「心理的」でもある。本書では、問題そのものを維持している認知プロセスを変化させる認知行動療法の技法を肥満の治療プログラムに取り入れ、治療の段階ごとに動機づけ・援助の方法を示した。まず減量達成にあたり「希望体重」「理想体重」「許容体重」といった体重目標区分の考え方、また、減量の先にある「本来の目標」を見極める重要性を解説し、その具体的な援助技法を詳説している。さらに「むちゃ食い」「ボディイメージの障害」といった肥満治療に重要なポイントとなる諸問題への対応にも紙幅を割いている。そして本書の最大の特徴は、「肥満治療成功は、至難の技」と言わしめる「リバウンドの問題」の心理的プロセスを明らかにし、その治療プログラムを詳述している点である。リバウンドへの本書のプログラムは、肥満治療の切り札となるだろう。本書は、肥満の患者や体重コントロールに問題を抱える患者の治療に携わっているすべての分野の専門家のために書かれた臨床ガイドである。