「堀川事件」とのちに呼ばれるようになったこの事件は、１人のタクシー運転手の、「お巡りさん、何かあったんですか？」というなにげない、ありふれた質問に端を発している。この質問に「生意気だ！」と応じた警官。この警察官はその運転手が何もやっていないのに、公務執行妨害、傷害罪などをデッチあげて逮捕し、自分の高校時代の友人を架空の目撃証人に仕立てて、有罪に持ちこもうとした。しかし、一寸の虫にも五分の魂がある、そんな不正をまかり通らせてたまるか、と勇敢にたたかったのが、その運転手堀川武氏であった。この本は、１１年間にわたって警察官の不正、犯罪を追及して勝利した「堀川事件」のドキュメントである。