白石鉄太郎は、大手証券会社のエリートコースを歩いていながら、あっさりとそれを棒に振り、相場一筋で生きる一匹狼の歩合外務員の道を選んだ男だった。その一方で投資コンサルタント事務所を開き、かなりの資金を動かす仕手筋としても知られていた。その日、証券情報紙の記者、後藤純一が持ってきた情報に、白石は何かキナ臭いものを感じた。超大物の相場師・大山吾道が、木曽工業という業績低迷会社の株に狙いを定めているというのだ。早速調べてみると、木曽工業の工場用地が政治家がらみのリゾート計画と関係があるらしい。「木曽工業は今年最大の大化け株になるかも知れない」白石は大山の動きに先んじ、その上前をハネようと、極秘のうちに木曽工業株買占めを画策したが…。