昭和１７年もおし迫り、航空戦艦隊は日本に停泊していた。黒富士や天馬級の補給改修のためである。その間、夜多部司令にはやらなければならないことが山積していた。なによりも物量に勝るアメリカに対して、新たな兵器の開発が急がれていたのだ。だが、ここに重大事件が勃発した。東条首相が暗殺されたのだ。急遽、内閣総理大臣には山本連合艦隊司令長官が就任、連合艦隊は山口多聞に任されることとなった。ここに至って夜多部率いる航空戦艦隊の責任はいよいよ重大なものとなる。夜多部は特別兵装研究部を督励し、ついに日本初のジェット戦闘機「雷神」の完成にこぎつけた。ついでこれまた夜多部のアイデアになる高速輸送空母「青鸞」も竣工し、アメリカとの一大決戦を迎える体制がととのった。目指すはアメリカ西海岸。敵の本土攻撃こそ戦争終結の近道と考える夜多部の壮大な賭けが始まった。