本書は、日本の産業構造の変化との関連において、職業教育・訓練が抱えざるをえない緊急な諸課題を明らかにすると同時に、今後における新たな「技能形成システム」の社会的構築に向けて、後期中等教育段階における職業教育、公共職業訓練、社会教育などの全般にわたって見直し、今後の課題について展望することを目指した。そして、企業経営の国際化・情報化の進展に伴って、いかなる質の技能労働者の育成が必要とされているかを解明し、ＭＥ技術革新に伴う労働内容の変質、作業編成の変容を明らかにすることによって、いかなる技能が陳腐化し、同時にいかなる技能が要求されているのかを解明し、現在の職業高校が直面している教育上の困難を明らかにしつつ、青年の職業意識、職業観形成にもつ職業高校の意義について検討し、人間は職業・労働を通じて成長するという観点から、多様な形態で展開されている現代日本の職業教育・訓練の一端を、その現実を直視するなかで検討するため、教育現場や労働現場に直接足を運び、その実態を明らかにした。