小児科医リザと会社社長マーカスは結婚十年を迎えた。ふたりはこのうえなく愛し合っていたが、マーカスは子供をつくる能力がないとわかって以来、リザがいちばん欲しいものを与えられないことに悩んでいた。「きみは子供を持たずに一生を過ごしても満足なのか？」子供を産むことができるように、妻を自由にしてやろう…。「わたしはあなたと子供を育てるのが夢なのよ」答えるリザの大きな茶色の瞳には涙がにじんでいた。はやく決断しなければ、夫は私のもとから去ってしまう…。この問題を解決する方法はただひとつ。リザは、マーカスに告げずに人工授精を試みる。ああ、でもマーカスが自分の子供じゃないと拒否したら？夢がかなっても最愛の夫を失ってしまったらどうしたらいいの。