トランスという奥深い現象は、特別な場合にのみ起こるわけではなく、日常のなかにも現われている。そうしたトランスをうまく活用するセラピーは、催眠療法ばかりではなく、自律訓練法や臨床動作法、イメージ療法、フォーカシングなど数多く存在する。本書は、そうした催眠療法とその関係するアプローチを貫く「催眠トランス空間論」を通して、心理療法の職人技に迫る1冊である。多くのセラピーがマニュアルやガイドラインに沿って行われる中、微妙なクライエントの反応を感受し、治癒につなげる職人芸がある。本書には、催眠療法とその関連領域でプロフェッショナル中のプロフェッショナルとして活躍をする10人のセラピストに、その真髄を思う存分に描いてもらった。本書は、本物のプロフェッショナルを目指す臨床家に読んでもらいたいものである。