価格: | ¥12100 |
著者: | 原田敦子(国文学) |
出版社: | 和泉書院 |
発行年月: | 1998年07月 |
ISBN: | 9784870889217 |
種類: | 全集・双書 (研究叢書) |
在庫状況: | |
本書は、一般に「繊細」「優美」「華麗」などと評される王朝文学の基層に、上代的なるもの、土俗的なるものの流れが存して、時として表面にあらわれ、時として伏流水となって、文学の発想・主題・表現に多大の恵みを与えたことを明らかにするものである。従来、王朝文学と上代文学の関係は、主として王朝文学の側から、素材・引用・話型の問題として論じられることが多かった。本書では、古代の伝承をとり上げて、その具体相を上代に立返って解明することよりはじめて、成立、伝播、変貌の過程を追い、それらの伝承が王朝の作家達の心象にどのように投影し、平安の時代相や文学とかかわりあいながら、いかなる変容をとげて、王朝文学作品の中に受容、形象化されるに至ったかを、単に言説の世界の中にとどまらず、できる限り歴史的現実の時間・空間の中において浮び上らせた。