価格: | ¥1320 |
著者: | 福田 清人/石橋 とくゑ |
出版社: | 清水書院 |
発行年月: | 2017年09月10日頃 |
ISBN: | 9784389401191 |
種類: | 全集・双書 (人と作品 新装版シリーズ) |
在庫状況: | 在庫あり |
足かけ五〇年に近い年月を、明治・大正・昭和の三代にわたって、ただまっしぐらに書き続けてきた花袋の底に張られる強力なる線、それは「無類の正直さ」であろう。かれは、人生の奥底を、正直な目で見つめ、自己の欲求を正直に示して、その生涯を貫いた。それは、ときには利己的にも見え、愚直に見えたかもしれない。しかし、かれが自己を愛し、そこから自己の一部、いな、全てである自然主義小説、宗教小説、歴史小説、紀行文が生み出されたとき、それはより次元の高いものへと昇華されていった。その全てが、花袋の血であり、肉であり、真実の声の吐露である。死して八〇年余。利根川のほとりを歩むとき、かれの作風のいまだ新鮮なるに驚きの声を発するのである。