菊池は刑事に「女戻に男がいたのは確かなようです。金がなくなっていました」と告げた。五百万円の生命保険が解約されていたのだ。「脅されたんとちがいますか、なにかの拍子であやまちを犯して、それで揺すられた…」と刑事が推測した。あの女の極みの声が甘く甦える。新幹線の車中で知りあい、考えてみれば上手く行きすぎた“情事”の後、帰宅した菊池は驚愕した。家は焼け、妻は死んでいたのだ。しかも妻は夫に黙って大金に手を出していた。めくるめく官能とサスペンスの長編ミステリー。