天保九年、江戸の裏稼業である隠し人たちが刺客に襲われた。敵は、同業である上方の隠し人。江戸の支配を企む恐るべき奸計であった。元会津藩士であり隠し人の一人、不知火半兵衛は、仲間である捨八、おりんとともに、敵の真意を質すため大坂に向けて旅立つ。道中、ひょんな縁から不思議な夫婦と出逢うのだが…。一方、江戸では町奉行の同心、中嶋左近が、上司から密命を受ける。昇進と礼金につられ探索を開始した左近であったが、裏には卑劣な策が待ちかまえていた。漆黒の闇のなか、江戸を跋扈する悪辣な輩を怒りの剛剣が貫く！そして半兵衛と左近の運命が交差するとき、一人の女の切なげな恋心が儚く散る。